「

今月から、スタジオジブリ作品の場面写真の提供を開始します

」とのことで
ジブリのいくつかの作品を常識的な範囲で自由に利用できることになりました。


弁理士として著作権法の話をすると、
このような許諾が発表されずとも、例えばブログでこういった画像を引用して利用することは適法です。
ただし「引用」の定義に当てはまるためには制限があります。

引用（著作権法第32条）
引用の目的上正当な範囲内で自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。

条件：
　ａ　引用部分が公表された著作物であること
　ｂ　引用部分と自己の著作物の区分が明瞭であること
　ｃ　自己の著作物が「主」であり、引用部分が「従」であること
　ｄ　「引用の目的上正当な範囲内」であること
　ｅ　出所を明示すること
　ｆ　改変など、引用部分の著作者人格権を侵害しないこと

今回ジブリの鈴木さんが言う「常識的な範囲で」というのは
条件ｄの「正当な範囲内で」というのとほぼ同義かなと思います。
他人の著作物を批評を目的として引用することも、
批評によりその他人（著作者）をこき下ろすのもOKです。
ただし、引用の必要性があり、必要性のある量で引用しなければなりません。
普通に考えて、営利目的で使用するのはNGですね。

上の条件a～fで特に重要なのはｃの「引用部分が「従」であること」と
ｆの「改変等しないこと」、ですかね。
引用部分を「従」にするというのは、例えばこの記事のように
文章を読ませることがメインの目的であれば良いということであり、
画像を見るために人が来るようでは「従」とは言えないわけです。
判断基準の要素は、例えば引用部分以外の要素（文章）の量、文章の内容の有無、引用画像の大きさ、画質などですね。

そして、改変はしてはいけません。
今回のジブリの許諾も、パロディなどの改変（二次創作）を許可するものではないと思います。

ここまではブログなどの記事で引用する場合の条件について記載しましたが、
今回のジブリの許諾で、画像の複製を公衆に見せることが可能になったと思います。
例えば、ジブリ作品の一場面の画像をスマホに保存（コピー）して、そのコピー画像を仲間に見せる、
このような行為は本来違法ですが、今月からは可能になるわけです。
ジブリ画像をTシャツにプリントして着て外出するのもOKとなるはずです。もちろん販売は駄目だけど。

パソコンやネットやカメラが発達した近年では著作物の複製・拡散が極めて容易ですから
適切な知識と節度をもって創作物やネットを楽しみたいものですね。



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